御回向(えこう)の詳細
塔 婆 供 養
宗祖日蓮大聖人様は、私達人間の身体も、また宇宙や一切の森羅万象もすべて地水
火風空の五大の元素から構成されていると仰せです。この五大は分解してはまた集ま
り、集まってはまた分解するというように、常に離合をくりかえしています。人間も
ひとたび死ぬと、もとの元素に戻ります。この時人間を形作っている肉体が分解さ
れ、無に帰したように見えますが、その生命の業(因縁因果による色心の状態)は、
永遠に宇宙の中に生きていくのです。しかも、生前中から死ぬ時に至る善悪の果報を
そのまま死後の世界までもちつづけますから、苦しみ悩み、あるいは間違った教えに
まどわされて死んで行けば死後の世界でも苦を感ずるわけです。
そして、もし先祖や親戚・知人で亡くなった人の中に死後の世界で苦しんでいる人
があれば、生きている遺族の側にも其の苦しみや悩みが影響してきます。ですから、
遺族の人達の強い信心と御本尊の功力によって亡くなった人が成仏の境界にならない
と生きている人も、此の社会もほんとうの幸せにはならないということになります。
このことを仏教では「三世の益に欠けるが故に五濁悪世となる」といわれています。
したがって塔婆供養・先祖回向ということが必要になってくるのです。
前にも記したように五輪の塔婆に題目をしたためて戒名や俗名を書けば、それは、
亡くなった人の体をあらわしています。そして御本尊にお経をあげ、お題目を唱える
とその塔婆は仏界を現じ、御本尊のお力によって亡くなった人の生命に感応するので
す。この感応妙というのは、御義口伝に「衆生に此の機有って仏を感ずる、故に名づ
けて因と為す。仏機を承けて而も応ず、故に名づけて縁となす」と説かれているよう
に、衆生の善根が仏を感じて発動する時、その衆生の性欲に応じて仏様が慈悲を垂れ
ることで、仏様の心と衆生の心が融け合うことによって仏果を成熟させるのです。
「成仏したい、成仏させたい」というこちらの一念心を仏様がお感じになるというこ
とで、塔婆供養の場合は、回向する者の一念心が大切な因となります。これはまこと
に難解なことですが、塔婆供養はこの感応妙の原理によって死者が成仏の境界に進む
のです。
草木成仏口決に「我等衆生死する時塔婆を立て開眼供養するは、死の成仏にして草
木成
仏なり」と仰せられています。生きている者が大御本尊にしっかりとお題目を唱える
と成仏できて幸せになるように、塔婆供養の原理は自分で意志表示の出来ない亡者
や、非情の草木が御本尊の慈悲、お題目の力によって成仏できるのです。
塔婆を立てると亡くなった人はもちろん、供養した人もまた、大きな功徳をうける
ことができます。その功徳の大きさは量り知れないとたくさんの経文に説かれていま
す。
「昔印度に波斯匿という王様がありました。ある時仏様の所へ行って『私は占い師
にみてもらったところ、あと七日しか寿命がないといわれたので大変苦しんでいま
す。どうかこの苦しみを救って下さい』といいました。これを聞いた仏様は『王様
よ、そんなに苦しむことはありません。あなたが命を延ばして幸せになりたいのでし
たら塔婆を立てなさい。
塔婆をたてるその功徳はとても大きくて量り知れない程です。塔婆建立のことはあら
ゆる仏様がほめたたえています』と説かれています。
また法華経方便品に「土を積んで仏廟を成し乃至童子の戯れに沙を聚めて仏塔と為
せる、是の如き諸人等皆已に仏道を成じき」と説かれ、大聖人も「丈六のそとばをた
てゝ、其の面に南無妙法蓮華経の七字を顕はしてをはしませば、乃至過去の父母も彼
のそとばの功徳によりて、天の日月の如く浄土をてらし、孝養の人並びに妻子は現世
には寿を百二十年持ち」と仰せになっています。
このほかたくさんの経文に塔婆供養の功徳が説かれています。たとえば塔婆供養を
すると寿命を延ばせる、大きな福運が積める、常に仏様のお慈悲をうけることが出来
るなど、仏法上、とくに大聖人の教えから見ると、塔婆建立の意義はまことに深いも
のがあります。
亡くなった人に追善回向をするには塔婆供養が最上の方法で、亡くなった方は塔婆
供養を待ちこがれています。
御本尊をはなれた塔婆回向は真の供養とはいえません。私達はまず第一に御本尊を
信じ、御本尊を生命をかけて護り、御本尊を中心に一所懸命信心修行して功徳を積
み、その功徳善根をもって亡くなった人に塔婆回向をしなくてはなりません。
私達の毎日の生活の中に報恩の心、追善の気持を忘れることなく、そして正しい塔
婆供養の意義を理解して、故人の成仏をご祈念いたしましょう。
永 代 回 向 願
・寺院永代過去帳に記入し、毎月一日のお経日に追善回向をします。
大 過 去 帳 願
・寺院大過去帳に記入し、毎月の命日ごとに追善供養をします。
※各家庭にも過去帳を備えましょう。(2000円~)